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今夜の番組チェック

 

2003年6月

ロシアから来た男

ロシア人が新居浜にやってきた。いつものように接待役を任され、松山空港に迎えに行くと、イタリア人3人とロシア人4人が到着した。ロシア人5人の予定だが・・・。案内役のイタリア人が「ひとり来ていません。」と簡単に言ってくれる。こちらは、接待の予定を全部修正する必要があるのに。

近鉄タクシーのリムジンを予約していたので、案内すると、4人の姿が見えない。探すと、空港のロビーから外に出てタバコを吸っている。羽田からの飛行機が禁煙で、タバコをずっと我慢していたと言う。このあたりで、誰がイタリア人で、誰がロシア人かようやく区別がつくようになった。彫りの深いラテン系のイタリア人と田舎者風のスラブ人、その中でも、ひとり際だって目立つ太い男がいる。見るからに躾が悪い。

一時間余りで新居浜のホテルに到着し、チェックインの手続きをしていると、また4人の姿が見えない。今度は、ホテルの玄関先でタバコを吸っている。ホテルのロビーは禁煙ではないのに。

会議と工場案内が終わった二日目、別子銅山記念館を案内した。イタリアのメンバーは熱心に説明を聞いてくれるが、ロシアのメンバーはさっさと勝手に廻っている。説明書は日本語だけなのに、興味もなしか。外に出て、隣の大山積神社の前で記念撮影。ところがひとり姿が見えない。結局、ひとりマイクロバスに帰って休んでいた。例のFat Manだ。

マイクロの次の行き先は呉服店。土産に服地を買いたいという。ところが、バスが動き出すと、「三菱の店に行ってくれ。」と言う。聞くと、Mr. Fat Manがパジェロを買ったので、日本に来たついでに部品を買いたいとのこと。面倒だが、バスの運転手が携帯で問い合わせて店の場所を確認してくれた。仕事の一部とは言え、総務のバスの運転手もよく協力してくれる。

やっと探し出した三菱の店は、「土日だけ営業」と看板を出し閉まっている。これじゃ、トヨタ、日産に勝てないのもうなずける。Mr. Fat Manにあきらめてもらい、バスを出すと、今度は、「Mr.○○ トラブルです。」今度はなんだい!と振り向くと、「ビデオのバッテリーを充電したいが、日本のコンセントにプラグが合わない。」と言う。仕方がない、次は電気店に寄ってもらった。

ヨーロッパのプラグと日本のコンセントの接続用のアダプターを探す間に、他のメンバーは携帯を持って遊んでいる。100円で売っているので、「これは子供用か?」と聞く。「日本でしか使えないよ。」と説明し、アダプターも見つかったので帰ろうとすると、電気店のいろいろな品物が珍しいと見えて、なかなか店を出ようとしない。結局、土産に小物を買い込んで店を後にした。

最後にやっと、予定の呉服店。1m幅の絹の反物を出せと言う。店に聞くと、そんな物はない。「他の店に連れて行け。他の店ならあるだろう。」全く、遠慮のかけらもない。絹の反物は標準幅が30cm程度らしい。それで納得してもらい、ポリエステルと綿の112cm幅の反物で必要長さに切ってもらった。これ、全てMr. Fat Manの要求。その間に、他のメンバーは浴衣、帯、下駄と両手に抱えられるだけの土産を買い込んだ。イタリアのメンバーは、通訳一名は買い物につき合ったが、後の二人は店の外で辛抱強く待っていた。今回は完全にロシアのお客様の接待係だ。

台風のような二日間が終わり、最終日は朝、ホテルで見送った。バスの中で最後の挨拶をすると、Mr. Fat Man がウインクして「こっちに来い。」と言う。はいはいと、最後のご奉公で近づくと、荷物の中からウォッカを取り出し、持って行けという。このMr. Fat Manは、この代表団の中のボスで、自分の飲む酒を部下に持たせて来たようだ。宴会でもウォッカしか飲まず、こちらもつき合わされた。

結局、4人のロシア人は初めての日本で、仕事よりもほとんど観光気分だったようだ。しかし、Mr. Fat Manは気のいい親父だった。短い滞在を楽しんでもらえたので良しとしよう。