また性懲りも無く、飛行機に乗っている。
行き先はバンコク。去年はジャカルタで、たぶんこうなると来年あたりはクアラルンプールだろう。
シンガポールは旧正月に入ると、店もレストランも閉まってしまい、観光客目当てのホテルの、値段の高いレストランだけが開いている。仕方が無いのでシンガポールを脱出する。
バンコクの空港に着くと、イミグレーションの前は長蛇の列。全く列が前に進まない。カウンターは数多くあるが、開いているのは2箇所だけ。これじゃいつまでたっても外に出られない。待合室では、ホテルに案内してくれるガイドが待ってくれているはずだ。「マイペンライ」の国だ、じっと我慢。
2時間経ち、やっとイミグレーションを通過。前の人に付いて、出口に向かったが、待っているはずのガイドがいない。2時間も待たされたら、いくらなんでも帰ってしまうだろう。仕方が無いので、とりあえず、切符のリコンファームをしておくことにした。飛行機は、ロイヤル・ネパール・エアライン、小さい会社だ、空港ロビーにサービスカウンターが見当たらない。空港の案内嬢にオフィスの場所を聞き、直接空港内の事務所を訪ねた。
2階の片隅にある、小さな事務所をやっと見つけ、中に入ると、事務員らしき男達が雑談している。
切符を見せてリコンファームしてくれとたのむと、切符を見た事務員は、
「この切符、キャンセルされてるよ。」
「そんなばかなはずはないだろう。今着いたばかりなのに。」
「いや、キャンセルされている。どうしようもないね。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局、らちがあかず、この連中の不親切な対応に頭に来て、空港を出た。とりあえず、ホテルに行こう。
空港の玄関を出ると、目の前に都合よくタクシーが止まった。
「ダンナ、タクシーだろ。」若い、キックボクサーのようなお兄ちゃんが顔を出した。
「ホテルまで。」と、ホテルの名前を言って出発した。
やっとタクシーのシートでくつろぎ、初めてのバンコクの街並を眺めていてふと気がつくと、シートにパンフレットが置いてある。手に取ると、マッサージパーラーの広告で、中には若い裸の女性が並んでいる。
「だんな、寄っていくかい?」
「いや、ホテルに行ってくれ。」
「じゃ、ホテルのロビーで待ってるから、荷物を置いて行きましょうや。」
ホテルにチェックインし、部屋に荷物を置いていると、電話が鳴った。
”Hello, Mr.
○○○○?”と女性の声。
”Yes, who is calling?”
「私は、ツアーガイドです。空港の1番到着ゲートでずっと待っていたのですが、会えなかったので心配していました。」
「2番ゲートから出たら、誰もいないので仕方なくタクシーで来ましたよ。」
「わかりました。今夜、夕食を予約していますので、7時にお迎えに参ります。他に2組のカップルが一緒に行きますのでよろしくお願いします。」
「OK。じゃ、7時にロビーで。」
まだ夕方には時間があるので、出かけようとロビーに出ると、例のタクシーの運転手がまだ待っている。仕方ない、ついて行くことにした。
マッサージで十分リラックスし、ホテルに向かった。ところが、その運転手、ホテルの少し手前で車を止め、
「料金は2500バーツ(約10,000円)頂きます。」
「それはないだろう。メーターとは違うよ。」
「マッサージで楽しんだだろ。ガイド料だよ。」
とついに本性を現して、すごんできた。この予想もしない展開にビビリ、財布を覗くと、1800バーツ(約7,000円)しか入っていない。
「すみません。1800バーツしかないんですが。」
「じゃ、それでいいよ。まいど。」と、浅黒い顔でニヤリと笑い、タクシーは去っていった。
ともかく、無事でタクシーを降りることが出来たのでほっとしたが、正規の料金の10倍近く取られてしまった。散々な初日だ。